ザックリ・トップが止まらない人へ!クロスハンドアプローチを徹底解説

グリーンまであと20ヤード。ライも悪くない。ところが、アドレスに入った瞬間に「またザックリしたらどうしよう」「今度はトップしそうだ」と不安になる…
アプローチが苦手なゴルファーにとって、グリーン周りはスコア以上にプレッシャーを感じる場面です。
トップした次のショットでボールの下にヘッドを入れようとしてザックリ。
今度はダフらないように体が起きて、またトップ…
こうしたミスが続くと、徐々にインパクトが怖くなり、手が止まったり、逆に手先だけでボールに合わせようとしたりするようになります。
これが続くと苦手意識が付くのはもちろん、アプローチイップスにもなってしまいかねません。
そんなときに一度試してほしいのが、クロスハンドアプローチです。
クロスハンドというとパッティングをイメージする人が多いでしょう。
しかし、2022年の全米オープンを制したマシュー・フィッツパトリックはアプローチでも左右の手を通常とは逆にしたクロスハンドを採用しています。
また、PGAツアーではウィル・ゴードンなど実戦で使う選手もいますし、コリン・モリカワも練習でクロスハンドアプローチを活用しているといわれています。
ゴードンは通常のグリップではインパクトゾーンで手首が返りすぎ、ロフトが変化してしまうことに悩んでいたと語っています。
クロスハンドの魅力は、単に「変わった握り方」だからではありません。
手首を必要以上に使いにくくし、体とクラブを一緒に動かしやすくする。
この特徴が、ザックリやトップ、すくい打ちといったアプローチの代表的なミスを減らすきっかけになる可能性があります。
今回は、クロスハンドアプローチの仕組みやメリット・デメリット、実際の打ち方、練習ドリルまで詳しく解説します。
クロスハンドアプローチとは?
右打ちなら「左手を下、右手を上」にして握る
クロスハンドアプローチとは、通常とは左右の手の位置を入れ替えてクラブを握る方法です。
右打ちのゴルファーであれば、
右手が上、左手が下
になります。
パッティングでは「レフトハンドロー」と呼ばれることもあり、決して珍しい握り方ではありません。
しかし、ウェッジを使ったアプローチで採用するゴルファーはまだ少数派です。
ポイントは、単純に左右の手を入れ替えることだけではありません。
通常のグリップでは右手が下にあるため、インパクト付近で右手首を使ってボールを拾ったり、ヘッドを返したりする動作が入りやすくなります。
一方、クロスハンドにすると左右の腕の位置関係が変わるため、手首だけを大きく動かしにくくなります。
結果として、手先でボールを操作するより、胸や肩の動きによってクラブを運びやすくなるのが特徴です。
マシュー・フィッツパトリックで注目された打ち方
クロスハンドアプローチが広く知られるきっかけのひとつとなったのが、マシュー・フィッツパトリックです。
フィッツパトリックは2022年の全米オープンで優勝。
その際にも、グリーン周りからクロスハンドでアプローチする姿が注目されました。
PGAツアーでウィル・ゴードンもアプローチではクロスハンドを使用し、ラフやバンカーでは通常グリップを使い分けている例もあります。
つまり、クロスハンドは「アプローチ全部をこの握り方に変える」という考え方だけではありません。
短い距離やミスを抑えたい場面で使うひとつの選択肢としてクロスハンドアプローチがあるということです。
なぜクロスハンドにするとザックリ・トップを抑えやすい?
ボールを上げようとする右手の動きを抑えやすい
アプローチが苦手な人ほど、「ボールを上げなければ」と考えます。
しかしウェッジには最初からロフトがあります。正しくボールにコンタクトできれば、必要な高さはクラブが作ってくれます。
それでも不安になると、インパクト直前に右手を使ってヘッドを下から上へ動かしてしまう。いわゆる「すくい打ち」です。
すくい打ちが入ると、
- ・ヘッドがボールの手前に落ちてザックリ
- ・最下点が手前になり、上がり際でボールを打ってトップ
- ・インパクトロフトが毎回変わる
- ・出球の高さがバラバラになる
といったミスにつながります。
クロスハンドでは右手が上になるため、この「右手ですくう動き」を出しにくくできます。
ハンドレートになりにくく、最下点を安定させやすい
もうひとつのメリットが、インパクトで救おうとすることで遅れてヘッドが先行する「ハンドレート」を抑えやすいことです。
クロスハンドで手首を使わず肩の回転でストロークすると、緩やかな入射角でコンタクトしやすく、打点や出球の高さも安定しやすいといわれています。
アプローチで重要なのは、通常のアイアンショットのように鋭角に打ち込むことではありません。
クラブヘッドの最下点を毎回ほぼ同じ場所に持ってくることが最も重要です。
クロスハンドは、手首による急激なヘッドの上下動を減らしやすいため、アプローチの最下点の再現性が高くなります。
トップとザックリを交互に繰り返す人にも試す価値がある
トップとザックリを交互に打ってしまうゴルファーは、「前のミスを次の一打で直そう」としすぎていることがあります。
トップした。
「もっと下を打たなければ」
次はザックリ。
「今度は地面を打たないようにしよう」
次は体が起きてトップ。
この状態になると、スイングの動作そのものよりも「ボールにうまく当てること」に意識が集中しより手首を使ってしまいがちです。
クロスハンドにすると、いつもの手の使い方がそもそもしづらくなります。
そのため、細かな手先の修正を一度やめて、体の回転でクラブを運ぶというシンプルな動きになります。
アプローチがイップス気味の人にもクロスハンドは使える?
「アプローチになると手が動かない」
「インパクトが怖くて緩んでしまう」
「アプローチだけ急激にスイングスピードが速くなる」
という人もいるでしょう。
そうした状態で握り方を変えるのは、改善するためのひとつの選択肢です。
普段とは違うクロスハンドにすることで、いつもの「失敗する動作」を再現しようとする意識をいったん切り離せる可能性があります。
ただし、クロスハンドがイップスを治療する方法というわけではありません。
まずは練習として試してみて、「ボールに当てる怖さ」が減るか、「体を動かして打つ」感覚が出るかを確認してみましょう。
クロスハンドアプローチの基本的な打ち方
まずは5〜20ヤード程度の短い距離から始める
最初から50ヤードなどアプローチでも大きな距離を打とうとする必要はありません。
まずはSWやAWを持ち、5〜20ヤード程度の小さなアプローチからスタートします。
右打ちの場合、
- ・右手を上、左手を下にして握る
- ・スタンスを狭める
- ・ボールはまずスタンス中央付近を基準にする
- ・大きな体重移動を使わない
- ・胸と肩の回転でクラブを動かす
という流れで試します。
ボール位置についてはライや打ちたい球によって調整できますが、最初から極端に右へ置いたり左へ置いたりせず、まず中央付近から感覚をつかむほうがわかりやすいでしょう。
テークバックを手でヒョイと上げない
クロスハンドはもちろんアプローチ全体で最も避けたいのが、手首だけを使ったテークバックです。
手でクラブを持ち上げると、せっかくクロスハンドにした意味が薄れてしまいます。
イメージとしては、胸の正面にクラブがある状態をできるだけ保ちながら、胸と肩を少し右へ向ける。
そこから胸をターゲット方向へ戻すことで、クラブが自然にボールへ戻ってくる感覚です。
手先で上げず肩を回し、切り返しからインパクトも体の回転で打つことがポイントです。
インパクトでボールを上げようとしない
クロスハンドでも、インパクトで「上げたい」と思った瞬間にミスは出やすくなります。
意識するのは、
ボールを上げることではなく、ヘッドをボールの先まで動かし続けること。
フォローで左手首を折ってヘッドを急激に跳ね上げるのではなく、クラブヘッドを低く長く動かすような感覚でOKです。
クロスハンドアプローチのメリット
クロスハンドには、主に次のようなメリットがあります。
- ・手首の過剰な動きを抑えやすい
- ・すくい打ちを減らしやすい
- ・ザックリ・トップの原因となる最下点のズレを抑えやすい
- ・入射角を安定させやすい
- ・打点をそろえやすい
- ・出球の高さをそろえやすい
- ・胸や肩を使ったストロークを覚えやすい
特にアプローチが苦手な人にとって大きいのは、考えることを減らせることでしょう。
通常グリップでは、
- 「手首を使わないように」
- 「ハンドファーストを維持して」
- 「ダフらないように」
- 「でも上から入りすぎないように」
と、いくつもの動きを考えてしまいがちです。
クロスハンドなら、
- 「胸でクラブを動かして、そのままボールの先まで振る」
というシンプルな意識にまとめやすくなります。
クロスハンドアプローチのデメリット
もちろん、万能な打ち方ではありませんのでクロスハンドアプローチにもデメリットはあります。
最初は距離感を作りにくい
通常とは握り方が大きく違うため、最初は「どれくらい振れば何ヤード飛ぶのか」がわかりません。
特に感覚を右手に頼ってきたゴルファーほど、違和感は大きくなります。
これは練習で慣れる必要があります。
高く上げるアプローチには工夫が必要
クロスハンドは手首を使いにくくすることがメリットですが、それは裏返せば、ロフトを大きく使って柔らかい高いボールを打つ自由度が低くなりやすいということです。
実際、低めのピッチ&ランには使いやすい一方、ふわっと上げるショットには向いていないという感想もよく聞きます。
ラフやバンカーでは通常グリップのほうが使いやすい場合もある
芝の抵抗が大きい深いラフや、バンカーからヘッドを積極的に使いたい場面では、クロスハンドが必ずしも最適とは限りません。
PGAツアーのウィル・ゴードンも、短く刈られたライから35ヤード以内ではクロスハンド、ラフやバンカーでは通常グリップと使い分けています。
クロスハンドを覚えたからといって、すべてのアプローチを変更する必要はありません。
クロスハンドを身につける4ステップドリル
STEP1:まず5〜10ヤードを打つ
最初は距離を合わせようとせず、小さくクラブを動かします。
目的はナイスショットではなく、
「手を使わずにボールに当たる感覚」を覚えること。
10球ほど打って、ザックリやトップの頻度を確認しましょう。
STEP2:落とし場所を決めて10球打つ
次に、10〜15ヤード先に目標を決めます。
カップではなく、グリーン上の「落とし場所」を狙います。
アプローチではキャリー地点をそろえることが重要です。
10球打って、
- ・どれくらい前後に散らばったか
- ・出球の高さがそろったか
- ・打点が安定したか
を確認してください。
STEP3:10ヤード・20ヤード・30ヤードと距離を伸ばす
クロスハンドに慣れてきたら、振り幅を変えて距離を打ち分けます。
ポイントは「強く打つ」とういうインパクトやスイングスピードで調整するのではなく、振り幅を変えること。
10ヤード、20ヤード、30ヤードで、それぞれ自分なりの振り幅を作っていきましょう。
STEP4:通常グリップに戻して打って比較する
クロスハンドは、本番で使わなくても優秀な練習ドリルになります。
クロスハンドで10球ほど打ったあと通常グリップへ戻し、同じように胸と肩でストロークしてみてください。
手を使わず、クラブと体を一緒に動かす感覚が残っていれば成功です。
ゴルフシミュレーターでクロスハンドの効果を確認しよう

「クロスハンドにしたら、なんとなく当たりが良くなった」
それだけでも悪くありませんが、せっかくなら本当にショットが安定しているのか確認してみましょう。
ゴルフシミュレーターなら、同じ場所・同じクラブ・同じ距離で繰り返し打てるため、通常グリップとクロスハンドを比較しやすくなります。
GOLFZONのシミュレーターならAttack Angle(入射角)、Launch Angle(打ち出し角)、Ball Speed、Spin Rate、Carryなどを含むショットデータを確認できます。
まず見たいのは「入射角」
クロスハンドで最初に注目したいのが入射角です。
ただし、
「アプローチは○度が正解」
と決める必要はありません。
見るべきなのは、10球打ったときのバラつきです。
通常グリップでは入射角が大きく変動するのに、クロスハンドでは似た数値に集まるのであれば、クラブの入り方が安定している可能性があります。
打ち出し角で「出球の高さ」を確認する
次に見たいのがLaunch Angleです。
目視では「だいたい同じ高さ」に見えても、数値では差が出ていることがあります。
アプローチでは、最高の1球より、
毎回似た高さで飛び出すこと
が重要です。
打ち出し角が安定すれば、キャリーの予測もしやすくなります。
キャリーのばらつきを確認する
20ヤードを狙っているのに、
14ヤード、25ヤード、18ヤード、27ヤード……
では寄せるのは難しくなります。
一方、
19ヤード、20ヤード、21ヤード、20ヤード……
と集まれば、かなり実戦でも使えるまとまり方です。
クロスハンドを評価するときは、最大飛距離ではなくキャリーの幅を見てください。
スピン量とボールスピードも「平均よりばらつき」を見る
スピン量やボールスピードも確認してみましょう。
打点やロフトの使い方が安定すると、これらの数値にも一定の傾向が出てくる可能性があります。
ここでも大切なのは、「スピンが多いほど良い」といった単純な判断ではなく、
10球がどれくらい同じ数値に近づいているか
です。
通常グリップとクロスハンドを10球ずつ比較してみよう
ゴルフシミュレーターで練習するなら、ぜひ次のテストを試してください。
使用クラブはいつものウェッジで目標は20ヤード程度に固定します。
通常グリップ:10球
クロスハンド:10球
比較する項目は、
- ・入射角
- ・打ち出し角
- ・キャリー
- ・ボールスピード
- ・スピン量
- ・左右のばらつき
です。
そして最も大切なのは、ベストショットを比較しないこと。
通常グリップで1球だけベタピンになったとしても、残り9球がバラバラなら再現性が高いとは言えません。
反対に、クロスハンドではスーパーショットがなくても10球すべてが20ヤード前後に集まったなら、コースで使える可能性は高くなります。
まとめ:アプローチが怖くなったら「握り方を変える」のもひとつの方法
アプローチが苦手になるほど、「正しく打とう」と考えることが増えていきます。
- ・手首を使わない。
- ・ダフらない。
- ・トップしない。
- ・ハンドファーストにする。
- ・でも打ち込みすぎない。
考えることが増えすぎた結果、グリーン周りで体が動かなくなってしまう人も少なくありません。
そんなときは、あえて握り方そのものを変えてみる。
クロスハンドアプローチは、通常のグリップとは左右の手の位置を逆にすることで、いつもの手首の使い方を出しにくくします。
その結果、胸や肩を使ってクラブを動かし、ボールをシンプルに運ぶ感覚をつかむきっかけになります。
もちろん、すべてのゴルファーに合うわけではありません。
また、ザックリやトップ、イップスのような悩みを必ず解決する万能な方法でもありません。
それでも、
「何をやってもアプローチが安定しない」
という人にとって、試してみる価値は十分あります。
まずは5〜10ヤードから。クロスハンドで体とクラブを一緒に動かす感覚を覚え、慣れてきたら距離を伸ばす。
そして通常グリップにも戻して比較してみる。
さらにゴルフシミュレーターを使うことで、「なんとなく良くなった」という感覚だけではなく、入射角、打ち出し角、キャリーなどから実際に再現性が高まったかを確認できます。
最高の1球ではなく、10球をどれだけ同じように打てるか。
そこに目を向けることが、アプローチへの苦手意識を減らし、寄せワンを増やすための一歩になるはずです。

